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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 二人は顔を見合わせ、何とも厭な笑いを浮かべた。一人が顎をしゃくると、いきなりもう一方が公子に近付いてくる。
 あっと思ったときには遅かった。逃げようとした公子は近付いてきた男に両脚を持ち上げられていた。
 甲高い悲鳴が上がったが、男たちは頓着せず、もう一人の男の方までがやって来て、公子の上半身を抱え上げる。二人の屈強な男に抱えられ、公子は朱雀門まで運ばれた。

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