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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

 鬼丸は無様にも、恐怖のあまり腰が抜けたようだ。立とうにも立てず、這いながら逃れようとする。当然、公子からも手を放し、距離ができた。
 雪代に乗った公之は逃げようとする鬼丸なぞ眼にもくれず、鬼丸に向かって走ってくると見せかけ、走りざま、公子を抱き上げて馬に乗せた。
 鬼丸が悪態をつくのを後に、公之は雪代を全速力で駆けさせる。

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