テキストサイズ

無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第6章 伍の巻

「間に合って良かった」
 公之が公子の髪に頬を埋める。
 しばらく馬を走らせた後、公之が急に手綱を引いた。雪代が鋭いいななきを上げ、止まる。
 二人はいつしか左京の町に入っていた。
 朝の早い行商人がそろそろ都大路に姿を見せている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ