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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 黒眼がちの大きな眼が印象的で、膚は白く、すべらかだ。美人とは言えないまでも、十分美しいといって良い範疇に入るだろうし、それが相模の贔屓目だとしても、十人並みよりは上の器量だ。何よりの自慢は相模が毎朝、丹念に刻をかけて梳っている丈なす豊かな黒髪だった。

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