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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 美しいという形容が当てはまらなければ、可憐、可愛らしい、もしくは愛敬があると言えるだろう。確かに学問好きで虫好き、これは全くの噂どおり、つまり真実のことではあるけれど、それくらいのこと、何も結婚の障害になるようなことではない。むしろ、世の中には美人でも権高で気位の高い女、己れの才を鼻にかけた鼻持ちならない女はごまんといる。

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