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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 その時。
 突如として、笑い声が響き渡った。
「公子、そこにいるのか?」
 その声に、呼ばれた公子よりも相模の方が狼狽える。
「姫さま、お殿さまですわ」
 が、公子の方は至って落ち着き払ったもので、微笑みながら頷いた。
「どうやら、そうみたいね」
「さ、お部屋にお戻りになられませ」

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