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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第1章 《序章》

 何を隠そう、この公明は少女の手習いの師匠でもあった。あまりにも畏れ多いことゆえ、公明は広言はしない。けれど、この極めて不肖の弟子―つまり少年のことである―と、裏腹に衆に抜きん出た利発さを持つ少女、二人の弟子が全く相容れない仲であること、そして、二人の立場が入れ替わっていれば良かったのにと毎度ながら痛感していることなどは普段からおくびにも出さない。

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