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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

「ああ、それはだね」
 道遠は朗らかに笑うと、慈愛に満ちたまなざしを愛娘に注いだ。
「そなたと一緒にいると愉しいが、その分、何が起こるか判らない、つまるところ、どのような騒動に巻き込まれるか判らないと、ま、そんな意味かな」
「酷い、お父さまったら」
 公子が頬を膨らませる。
 道遠はさも愉快そうに声を上げて笑った。

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