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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 大好物の菊を象った和菓子を前に、思わず歓声が洩れる。
「まあ」
 相模が咄嗟に進み出て、懐から懐紙を取り出し、更に道遠から受け取った菓子をその上に載せた。
「ありがとうございます」
 公子は子どものような無邪気な笑みを浮かべ、眼を輝かせている。
 そんな娘を道遠は優しい眼で見守った。

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