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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 ちなみに道遠は十七歳のときに迎えた正室が亡くなって以来、再婚はせず独り身を通している。その正室というのが公子を生んだ母品子(しなこ)、先々帝の末弟兵部卿宮の二の君であった。つまり、公子は代々、摂政関白を輩出してきた名門藤原家の当主を父に持ち、母は皇家の姫という血筋を持つ姫でもある。

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