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　公子の母品子は当時、〝三美人〟と謳われたほどの絶世の美貌を誇っていたといい、求婚する公達がひきもきらなかったとか。その中で父は母に熱烈な恋文を送り続け、ついにその心を射止めたという。二人の華やかな恋愛譚は半ば伝説のように語り継がれている。
　父が母を喪って以来、いまだに独身を貫いているのは、そのせいもあるには相違ない。両親共に端整な面立ちでありながら、何ゆえ、我が身だけは綺麗に生まれなかったのかと流石に公子も落ち込むときはある。