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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第2章 壱の巻

 一緒にひいな遊びをしたりしたのも愉しかったけれど、大宮は公子が庭で捕まえた虫や蛙を見せても、愕きもせず、ただ微笑んで見つめていて、特に叱りもしなかった。風変わりな子だと変な眼で見ることもなかったのだ。
 大宮に優しくして貰ったあの頃の記憶は、今でも懐かしい想い出として心の奥底にある。あの優しかった叔母が立て続けに孫を失い、悲嘆に暮れているという。

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