テキストサイズ

無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第1章 《序章》

 おまけに、この少年は彼女を見る度に、〝醜女〟と実はかなり気にしていることを平然とずばずばと口にする。至高の位にあることに良いことに、当代随一の知恵者という紀伊公明を師に持ちながらも、真面目に学ぼうとせず、昼間から年若い女房たちに囲まれ管弦だ詩歌だと遊びにばかり耽っている。尊敬どころか、軽蔑しかできない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ