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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第1章 《序章》

 要するに、大人が一歩距離を置いて見れば、少年が少し気になる、つまり好きな女の子にわざと突っかかってゆくのだと判るが、まだ年端もゆかぬ当人同士―殊に少女の方にしてみれば毎度、顔を合わせる毎に嫌みを言われるものだから、たまらない。この一つ年下の生意気で恥知らずな従弟は、少女にとっては大嫌いな奴でしかない。

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