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無垢な姫は二度、花びらを散らす~虫愛ずる姫君の物語り~

第3章 弐の巻

「こうしてあなたのお顔を見ていると、十一年もの刻を隔てているような気がしません。不思議なものですね。これが血を分けた肉親の情愛というものでしょうか。私にはご存知のように娘がおりませんし、私は昔からあなたを娘のように思うていたのですよ」
「畏れ多いお言葉にございます」
 公子が返すと、安子は微笑んだ。

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