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夜の幕がゆっくりと開く

第1章 夜の幕がゆっくりと開く

あれから一週間がたった。

ニュースでは組織的な誘拐事件として処理されていて、詳しくは報道されなかった。

資料室にあった記事は誘拐した人たちを警察がどのように捜査しているかを調べるためのものだった。

「ジョニー!!カルアミルクの割合、前と変わらんや~ん。」

「はいはい。」

「アーセナル。ダーツせん?」

「一人でしとけや。」

「アーセナル、いっつも一人やん。一人でばっかりおったら、根暗なんで。」

いつもと何一つ変わらない様子に、一週間がたっても安心感が心を包む。

あんな思い、正直もうしたくない。

思い出したくない記憶までも思い出してしまったのだから。

「…トッポ。ちょっと、部屋来て。」

真剣な表情でゲームをするトッポに小さく声をかければ案外すんなり席を立ち、俺の後ろをついてきた。

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