夜の幕がゆっくりと開く
第1章 夜の幕がゆっくりと開く
「思い出してん。なにもかも。あの日から、俺がトッポにどんなことをしてきたか。」
大きくため息を吐いたトッポは俺を押して起き上がると、眼鏡を直し、服のホコリを払い落とした。
「俺でも、螺夢さんの代わりになれるんやったら、いつまでも思いださんでいいって思ってたのに。」
その言葉のあと、聞こえてきたのは時計の針の音。
どれだけお人好しな彼でもその言葉だけでは時計の針を戻すことはできない。
「…今後、俺についてくんな。」
逃げるように立ち上がった俺のおもむろにサバイバルフォークを出した腕を強く握る。
「今さらなんやねんな。もう何回も呼ばれてんねんで。ジャッキーが不可抗力で相手を殺してもうた時も、爆弾が仕掛けられてた建物が爆発して、工場ひとつが炎上したときも。ジャッキーが辛くて瞑れそうなときはいつでも頼ってくれて…」
「これ以上。…これ以上は傷つけたないねん。死ぬより…男にとって屈辱的な事を…俺はしてきてんから。」
頭のなかによぎる涙。
ベットで力なく横たわるトッポの姿。
何度も頭のなかをめぐる情景。
走り去る俺の目には光がなかった。
もう、同じことを繰り返してはならない。
大きくため息を吐いたトッポは俺を押して起き上がると、眼鏡を直し、服のホコリを払い落とした。
「俺でも、螺夢さんの代わりになれるんやったら、いつまでも思いださんでいいって思ってたのに。」
その言葉のあと、聞こえてきたのは時計の針の音。
どれだけお人好しな彼でもその言葉だけでは時計の針を戻すことはできない。
「…今後、俺についてくんな。」
逃げるように立ち上がった俺のおもむろにサバイバルフォークを出した腕を強く握る。
「今さらなんやねんな。もう何回も呼ばれてんねんで。ジャッキーが不可抗力で相手を殺してもうた時も、爆弾が仕掛けられてた建物が爆発して、工場ひとつが炎上したときも。ジャッキーが辛くて瞑れそうなときはいつでも頼ってくれて…」
「これ以上。…これ以上は傷つけたないねん。死ぬより…男にとって屈辱的な事を…俺はしてきてんから。」
頭のなかによぎる涙。
ベットで力なく横たわるトッポの姿。
何度も頭のなかをめぐる情景。
走り去る俺の目には光がなかった。
もう、同じことを繰り返してはならない。