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夜の幕がゆっくりと開く

第1章 夜の幕がゆっくりと開く

「俺は…屈辱的なんて思ってない。だってジャッキーを助けるためやもん…。もっと頼って。人を助けようとする気持ちがあるなら、人に助けられることもせなあかんよ。」

座ったまま見上げる大きな瞳に俺の顔が反射して映る。

「なんで…そこまでして…」

「…なんでわからんのかな。俺は螺夢さんの代わりになりたいの!!」

ガバッと立ち上がって少し離れた俺を引っ張り俺を抱き寄せた。

「最初はなんで俺を見てくれへんねんって思ってたけど、俺にしかできひんことなんやって思うと…愛しくて…。俺な、ほんまは螺夢さんより前から好きやってんで。ジャッキーが定食屋に行く前から。」

小さな体が微かに震える振動が密着した体から伝わってくる。

「引かれるんはわかってるよ。…でも、もう二度と…頼ってもらわれへんねんやったら…いっそ離れて行ったって変わらんねんから…。」

強い不安に押し潰されそうになっている様子に胸が締め付けられる。

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