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夜の幕がゆっくりと開く

第1章 夜の幕がゆっくりと開く

「この建てもんには地下がある。」

「地下の可能性は大いにあるな。トッポ。できるか?」

「オッケー。」

何台も並んだモニターの前で手慣れた手つきでトッポはコンピュータを操作する。

あっという間に人気のない廊下の画面が無機質な部屋の数々へと変わった。

それを見たとたん、ジョニーが足元で気絶する監視員を蹴飛ばして画面に食いついた。

「…ここ…。五年前の写真と一緒や…。」

「五年前…?」

「マック!ジョニー!あれ、ジャッキーちゃうん!?」

その無機質な部屋のひとつに台に固定されてじっとしている俺の姿を見つけた。

「なんで全裸やねん…。」

「…まさか…。どうしよう!ジャッキーが…。」

真っ青な顔でモニターから離れたジョニーに二人の視線がぶつかる。

「ここの会社、表向きは食料品の会社やけど、裏では人身売買がされてるって話を五年前聞いてん。その人身売買の対象を収容する施設の写真とこの部屋が一緒やねん…。」

「その話…まさか螺夢さんが…?」

ジョニーがうなずくと同時に二人の目がモニターに帰った。

部屋に俺一人しかいない。

「今なら助けられるかもしれっ…。」

ジョニーの言葉をトッポの目の前の電話の音が切った。

しばらく三人は顔を見合わせたが、トッポがゆっくりと受話器をとった。

「試験隊を出せ。場所はB105号室だ。あと、暗殺隊も出せ。仲間が来る可能性がある。来たら躊躇なく撃ち殺せ。早くするんだぞ。」

それだけ告げると接続は切れてしまった。

「…B105号室って…ジャッキーがいるところやん。…試験隊ってなんや…?暗殺隊の呼び方は…?」

マックは気絶する二人の男のうち、一人を殴り起こして刃物を見せた。

「試験隊と暗殺隊の呼び方を教えろ。」

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