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とある鬼調伏一族の元旦

第3章 夜の初詣

神社につくとさっそくおまじないを始めた。

さすがにもう誰もいないが、その方がありがたい。

「さあ、そうぞ」

「はい…」

どうぞ、と言われたがなかなか懐紙を出せない。

「どうしました?…ああ、僕がいたらお願い事を唱えにくいですよね。少しはなれたところに…」

離れていこうとする蒸苑蒔の着流しの袖をちょっとだけ摘んで引き止めた。

「あ…あの、一緒にいてください」

「…わかりました」

蒸苑蒔が向きを直すと、桃花は懐紙を取り出し川に浮かべると、目を閉じて願いを唱え始めた。

「1つ、今年もみんなが健やかでありますように。2つ…じ、蒸苑蒔様にとっていい年でありますように。3つ、今年も、蒸苑蒔様のお側に居られますように…」

顔がすごく熱い。

でも、ゆっくりと目を開けた。

懐紙は川底でゆらゆらと揺れていた。

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