Take me
第12章 12
部屋から出れば、何か良い香りが漂う。
「あ、おはよう」
「おはよう」
朝ご飯を作っていたお兄ちゃんが、キッチンから挨拶してくれた。
"おはよう" 家族に言われるのはなんだか、久しぶりだ。
それがお兄ちゃんなら尚更。
「舞香さんは?」
「あぁ、今日は朝早くから会社に呼び出されたみたいでね。」
舞香さんも仕事大変なんだ。
「はい、座って!出来たよ」
「ありがとう」
お兄ちゃんが作るご飯
あまり食べたことは無かった。
家では、怪我するからってお母さんはあまり手伝わせてくれなかったから。
それに、作ってあげたいっていう人だったから
母の日でもないと料理の経験なんてできない環境で。
「すごく、美味しい。お兄ちゃん料理上手だったんだ。」
「まぁね?」
得意気に言われた
ほんと、どこでどうやって覚えたんだろ。