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Take me

第18章 18


「瑛士、おかえり」
「なぁ紘夢、あの「待って、早く上がって」


言葉を遮られて驚いた様子の瑛士は、俺に言われるがままリビングへ向かった。


怖かった、好きな人の口からさよならを言われるのが。



「瑛士、話がある。」
「…ん?なに?」



ソファに隣同士くっついて座るのも、久しぶりな感じがしてめちゃくちゃ嬉しかった。


「…どうした?」



ダメだ、さっきから話の続きを促されているのに、今一言でも言葉を発したら涙が溢れそうで。



「ねぇ紘夢、俺の話先に聞いてくれない?」
「…だめ、待って、今話すから…」

嫌だ、やだやだ、聞きたくないっ…


「紘夢、俺 実は「瑛士っ、別れたくない…」



言った。

でも口から出たのは、さっきまでの決意とは真逆の思い。




「紘夢、ごめん。
そんな事言わせて。」






胸がズキズキして痛くて、寂しくて、泣きたくて、







「…俺っ…誰かに…心から、本当に愛されてみたいっ…」


心の傷から出た血は、言葉となって溢れしまった。

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