Take me
第4章 4
「なあ紘夢、今日は家寄って行くか?」
「あ、うん。お邪魔する」
最近は毎日、瑛二の家に入り浸っていた。
お兄ちゃんがいない家に早く帰っても、なんの楽しみも無いし。誰かが心配する訳でもない。
両親が心配することなんてひとつだけ、勉強のこと。
そんな会話に飽き飽きして、まるで逃げるように瑛二のところへ行く。
「今日は親は?」
「今日もいないよ」
「ふーん」
瑛二の親を見たことがない。帰って来ることも少ないみたい。
何かあるのかも知れないけど、本人は話したがらないからそっとしておく。
だからこそ毎日お邪魔できるんだけどね。