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息もできない

第14章 喜んで欲しいんです

あ……こっち見てくれた…!?

さっきまで少し沈んだ気持ちが一気に戻ってくる
でも
次の瞬間また一気に、先ほどより深く落とされた


「!!」


春陽は俺を見て少し眉をしかめて視線を逸らした


ーーー嘘
なんで、目逸らすの




急に重力が倍になったような感じがした

内蔵まで全部、下に落としそうで

気持ち悪くて、吐きそう

穴でも空いたのかと錯覚するほど痛んだ胸に手を持って行って力一杯握った

ちゃんと胸はあるけど

でも



なくなってもいい

と本気で思った




あぁ、頭が揺れる


考えるのも放棄して本能だけで俺はとりあえず家に帰ろうと思って放心状態のままふらりと家に帰った



赤みの消えた

自分の手で付けた
身体中の引っ掻き傷から



大量の

血が吹き出した気がした





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