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息もできない

第14章 喜んで欲しいんです

俺は思わず

「えっ…」


と声を漏らしていた
その声が朗には聞こえていなかったのか、反応は帰ってこなかった


「なんかさ、初めて会った時は美人だけど無愛想な人だなーと思ってたんだけど笑うとめちゃめちゃ可愛いじゃん」


朗が語ったものは俺が直に抱いた第一印象ととても似ていて朗が直に惚れたんじゃないかって気が気じゃなかった


俺は平静を装って朗に尋ねた


「で、谷口さんのこと気に入ったって話?」
「あぁ、そう。あーいう可愛い人好きだな」



うわ…
好き、か
ストレートに言うな…


しかしその好きは人としてか恋愛対象としてかとても興味のあるところだ


「そーいやハル、お前今日の夜ヒマ?誕生日だろ。祝ってやるから飲みに行こうぜ」



今日……は
直の家に行く予定だったんだが

朗が直に対してどんな感情を抱いているのかもっと詳しく知りたいし
それに直、今日俺以外のやつと親しく話した罰を与えなきゃいけないし


「行く。その代わり奢れよ?」


俺は今下した決断が罰、なんて言葉じゃ表せないほど深い傷を直に負わせるとは思ってもみなかった


俺の答えを聞いて朗は満足そうに

「あぁ」

と頷いた

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