テキストサイズ

息もできない

第14章 喜んで欲しいんです

すると朗は一瞬きょとんとしてから顔を黒い笑みでいっぱいにした


その笑顔に中野の表情が固まる


「お前、なにしてんの?」
「え、と…?」

「お・し・お・き」

「!?」


今日初めて会ったやつの言うことも名前も何も聞かずに朗は言い切った

そして俺に


「じゃあ、俺今日は行くわ。今度谷口さんにもちゃんと挨拶させろよ」


と言いながら抵抗する中野を押さえ込んで店を後にした


中野、大丈夫かな…

少しだけ、気遣ってやってもいい

朗は天性のドエスでこれまで何人の精神を壊してきたかわからない



そんなことより、直のことだ


なんで俺に着いてきた

か………
何を置いても、待っている恋人を…直を放っておくべきじゃなかったってことか…?

もう夜中だけど電話しようかな


俺はカウンターに項垂れながら携帯で直に電話をかけた

呼び出し音が鳴る前に

『ただいま、電源が入っていないか電波の届かないところにいるため、かかりません』


と聞こえた

電源が入ってない…?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ