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息もできない

第1章 はじめまして

「本日はフルーツタルトがお勧めですよ」

フルーツタルト…
名前を聞くと食べたくなるなぁ

「じゃあそれと、紅茶をお願いします」
「かしこまりました。紅茶は茶葉に指定などございますか?」
「いえ」
「では、タルトに合うものをお持ちしますね」

店長が俺の元を去ってからまた小さく溜息

なんていうか…つらい
もうこの空間がつらい
帰りたい
でもこのまま帰るなんて失礼なことできない

予想外に(実際は自分が忘れて来ただけだけど)
顔見知りと会ってしまい
疲れのせいか気も緩んで
いつものクールさを失いそうな気がする

こんな会社の近くのお洒落でご飯の美味しいカフェなんて貴重なんだけど
店長に嫌われたら来づらいよなぁ…
普段の俺を少しでも見られたら嫌われるよな
あ、もしかしたらさっきお客さんの女の子と話してたのも俺の悪口かも…

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