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息もできない

第16章 俺に矛先を向けるな(サイドストーリー)

「ん…まだ、ねみぃ…」


あぁほら、また


「いいよ。寝てろ」

俺が一度起き上がった朗の頭を俺の肩にもたれさせるようにすると


「ん…ふ、……すー」


と再び眠りについた
俺は朗が寝たのを確認してから軽くため息をついて朗を起こさないようにゆっくり持って立ち上がった

ラブホのベッドなんていくら濡れても構わねえだろ、と思って身体も拭かずにベッドに一度運ぼうとおもったがこのあと朗を寝かせるところを濡らすのはやばいか、と思い直して狭いバスルームでなんとか身体を拭いて服を着せた



人一人の面倒見るのって結構大変だな
つーか今思えばなんで俺がここまでやってやらなくちゃいけないんだ


と愚痴ってみたはいいものの
実は悪い気はしていなくてむしろもっと丁寧に扱わなきゃ、ってそればっかり考えてた


朗をまた持ち上げて今度はソファの下にソファを背にして座らせる
俺はドライヤーを取りに一度洗面所まで戻ってからソファに朗を脚で挟むように座った

ドライヤーの電源を入れて一回手に当てて熱さを確かめてから艶のある黒い髪に温風を当てて行く


靡く黒髪がすごく綺麗で
時折香るシャンプーの匂いが俺の頭から香る匂いと同じなのが何でか嬉しい


俺はこの気持ちが何なのかわからないからとにかく無心になって朗の髪を乾かした


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