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息もできない

第17章 会社に行くのです

けど、春陽は口を開けてくれない

「春陽?」

食べてくれない?
まさか嫌いなものでも入ってる?

俺が不安がっていると

「直?食べさせる時は言わなきゃいけない言葉があるの」

と言われた


言わなきゃいけない言葉?


俺が頭に疑問符を浮かべていると春陽に唇を人差し指でちょん、と触られた


「あーん?でしょ」


あーん、て……!!


俺は顔が熱くなるのを感じた
春陽はにこにこしながら俺が言うのを待っている
俺はおずおずとスプーンを差し出しながら


「ぁ…あー、ん」


と言った
春陽はすごく嬉しそうに俺の差し出したスプーンに食いつく

それから


「美味い!!」


と笑ってくれた
俺は心底ほっとして
もっと、とねだる春陽にどんどんご飯を食べさせた

春陽は俺が作ったご飯のほとんどを一人で食べきってしまった
俺は自分が食べるより春陽に食べてもらう方が嬉しくてあんまり食べなかったけど幸福感からか、お腹は空かなかった

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