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息もできない

第17章 会社に行くのです

注文をしてからずっとちらちら春陽を目で追っている大崎さんに反して、俺はずっとテーブルの木目を目で追っていた



「お待たせいたしました」


春陽が料理を持って来ると

「ありがとうございます」


もうなんか、語尾がハート?目がハート?だ
意識してみるとすごく媚びて見えて


ちょびっとだけ、イライラする……


でもほんのり頬を赤くして微笑むその顔は周囲の目を惹きつけるほど綺麗で、俺の心に真っ黒なざわつきを運んでくる


「さ、食べましょう」
「…はい」
「ーーん!美味しい」


ほんと、美味しい…


ちら、と春陽の方を見ると春陽は接客中で、女性のお客さんと談笑していた


そうだよね………
春陽のこと好きになるのなんて当たり前だよね
あんなにかっこいいんだもん



針を刺されたような痛みが心臓に走ってその痛みが身体の奥を伝って、鼻が熱くなって視界が揺れる


俺はそれを隠すように席を立った
不思議そうな顔をして見つめて来る大崎さんに


「すみません。お手洗いに行って来ます」


と一言だけ伝えてお手洗いに向かった

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