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息もできない

第17章 会社に行くのです

だから二人きりになったらちゃんと話そう
悩んでてもしょうがないんだし


「直?なんかあった?」


とまだ心配してくれている春陽にドアを開けて微笑みながら告げた


「大丈夫。なんにもないよ?」

春陽はまだ俺を心配しているようだったけれど、今それに応えるわけにはいかない

泣いちゃうよ

「ねぇ春陽。今日の夜会える?」


話したい
少しでいいから


でも、春陽は気まずそうに目を逸らして


「ごめん。今日はちょっと、用事が」


期待、してたんだけど

心臓に穴が空いたんじゃないかって思った
胸のあたりに痛みとともに熱いものが広がったから
これはなんだろう、焦り?絶望?


「ーーそっか。じゃあまた今度だね」

「何か用だった?俺に」


笑え、俺
春陽に心配かけるな


「ううん。会いたかっただけ」


春陽はほっとしたような顔をして


「ほんとにごめん。埋め合わせするから」


と言ってくれた
それだけで、今はいいかな


「うん。絶対ね」

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