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「あの…直、の……彼氏の、知り合いに…」
「うん」
「黒澤朗って奴がいるの、知ってる…？」


黒澤さんて、あの黒澤さん？


「ーうん。知ってる」


圭太は俺が黒澤さんのことを知ってるのが意外だったのか顔をぱっとあげた


「その、黒澤って人は…何者なんだ？」


何者って聞かれてもなぁ


「春陽の幼馴染で、ワインに詳しい人」
「ワイン？」
「うん。ほら」

俺は人からもらった名刺を入れておくケースの中から黒澤さんのを選んで出した

そこには黒澤さんのメールアドレスや電話番号、働いているお店の名前なんかが書かれている

圭太はそれを凝視して


「なぁ、それ…写真撮ってもいい？」
「え？別にいいけど…」


名刺なんて誰にでも配るものだしいいよね？
書いてあるメールアドレスもサブアドレスみたいだし


圭太はそれを携帯で写真に撮って眺めている



「圭太は黒澤さんとどこで会ったの？」


純粋な疑問を投げかけてみると予想以上に圭太が狼狽える


「あ…？…えぇと…な…うーん……」