息もできない
第17章 会社に行くのです
春陽!?
と思って相手も見ずに電話を取ると
『残念!俺だよー圭太だけど』
電話の向こうから小馬鹿にしたような声が聞こえた
うう……
この前まで恋愛で悩んでる可愛い圭太だったのに!いつからこんな感じになったんだ…!!
「何、なんか用?」
『冷たい、直ちゃん!」
「…なんか上機嫌だね?」
『わかる?』
「うん」
まぁ、付き合い長いし
黒澤さんと何かあったのかな
『つーわけでさ、話し聞いてよ。直が不機嫌になった話も聞くから』
「!!」
やっぱり圭太はいいやつだ
あのことさえなければもっと良いのに
俺にとって事情を知っていて相談できる人なんて圭太ぐらいしかいないから、今はすごく頼もしく思えて
「うん、お願い」
俺は甘えてしまった
圭太とは会社の近くの、この前と同じ居酒屋で待ち合わせした
俺が店内に入ると
「直!こっち」
と声を掛けてくれた
「お待たせ」
「いや。仕事お疲れさん」
「ありがとう」