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息もできない

第18章 悪いのは誰なのか

「お前なぁ……っ痛て」


朗は真っ赤な顔で俯いた
ワイルドな顔立ちの朗には到底似合わない


「………」


ため息が出る


こいつがこんな風になるなんて
中野は何をしたんだ


しばらく朗の言葉を待っていると俯いたまま蚊の鳴くような声で話し始めた


「あの日…ハルの誕生日…俺、あいつを連れて店を出ただろ?」

「あぁ、そうだな」

「あの時は…ハルの大切な人に手出すような最低なやつにお仕置きしてやろうぐらいにしか考えていなかったんだ」


俺の大切な人に…って
相変わらず朗は良いやつだな


「ありがとな」


俺が礼を言うと朗はふるふると首を振った


「そんで…あの後…」


と言ったきり朗は黙ってしまった

もしかして


「あいつとヤったのか?」
「……あの時は…抜いただけだ」


あの時、は?
その後も会ってたってことか?


「で、次に会ったのはいつだ?」

「ゲイバーに顔出したら偶然いたんだ」


ゲイバー…ね
中野も相手を探してたってことか?

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