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息もできない

第18章 悪いのは誰なのか

あぁ、そういうことか
直を使って俺に取り入りたいんだ

直をそんなことに使うとか迷惑な女


直の上司だと名乗ったその人は続けた


「ここでお会いしたのも何かの縁ですし、夜ご飯ご一緒しませんか?」


何が縁だ
多分店の前で待ち構えてたんだろう


「すみません。忙しいので…」


と立ち去ろうとすると焦ったように止められる


「谷口さんに!最近、相談されていることがありまして…その相談にどう答えるべきかと悩んでいるので、三浦さんならいいお答えが聞けるかな、と思いまして」


俺なら、ってどういうことだ?
俺でわかるような相談なら俺にも相談しているだろ
会社の上司よりは先に

意味がわからない


けど



「直が相談?」
「はい。とっても悩んでいるみたいで」


嘘の確率の方が高いんだろうけど、本当だったらと思うと無視出来ない
今直が悩んでいるのは、自惚れかもしれないけど俺のことだろうから


「…はぁ。どこに行きます?」
「!!私、この近くでいいところ知ってます!ぁ…申し遅れました。私、大崎綾と申します」


明らかに嬉しそうに表情を変えた大崎さんは俺の腕を引いて歩き出した

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