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息もできない

第18章 悪いのは誰なのか

でも俺はそんなことに付き合ってあげるほど優しくない


「いえ、飲み物は結構です。そろそろ帰らないと明日も仕事ですので」


明日は副店長が店にいるから俺は出勤しない


「そうなんですか。それじゃあーーすみません!お会計お願いします」


わざわざ引きとめないってことはやっぱり直の相談なんて話は嘘か
普段なら割り勘なんてせずに奢るところだが、嘘をつかれたお返しに半分はきっちり払ってもらう

店を出てから大崎さんが今更のように腕時計を見た


「もうこんな時間だったんですね。楽しい時間はあっという間だわ。外も真っ暗」


ほら、言葉が上手い

楽しかったと遠回しに伝えつつ暗くて怖いから送って欲しいとさ


「家まで送りましょうか?」


しかし流石にこんな時間に1人で帰すのは気が引けて提案すると、あからさまに嬉しそうな顔をする


「いいんですか?ありがとうございます」
「いえ」


歩き始めるとさりげなく腕を絡ませて来た
歩きにくいし、邪魔だ


しばらく歩いていると信号を渡りきったあたりで遠くから声がした
俺が歩いてる自分の店がある側の歩道と逆の歩道から


そしてその声が聞き取れた


「直!!!大丈夫か!?おい!」


振り返ると道の向こう側でスーツ姿の男性が地面に座り込んでいる


「直!!!」


偶然青に変わったばかりだった信号を走って渡って直のところへ向かった

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