テキストサイズ

息もできない

第18章 悪いのは誰なのか

雨で濡れた地面に座り込んだ直に近づくと直は立ち上がって俺と反対方向に歩き出そうとする
しかもその横には中野がいて


なんでだよ!?


そして気がついた
俺の横に大崎さんがいるからだって


浮気だと勘違いされてる…?


直の顔を覗き込んでみても視線を合わせようとはしない


やっぱり、そうだ
俺また直に心配させてる


俺が家まで直を送ると言ったのだが、中野に拒否され目で横の女がいるだろ、と言われる


きっと今、直の横にいた方がいいのは俺じゃなくてこいつなんだ


別れ際に直に後で連絡する、と告げ
無理やり頷かせた




「谷口さん、大丈夫かしら」

横で心配するこの人に気を遣っている余裕はない
このままじゃ、またあの時と同じ
違うのはちゃんと俺が直を傷つけたことに気づいてるってこと


「帰りましょう」


と大崎さんを近くの駅まで送ってから俺はすぐにタクシーに乗り込んで直の家に向かった

電話なんかじゃ足りない
会って伝えなきゃいけないんだ


お願いだから
これからはもう泣かせないって約束するから


直、許して

ストーリーメニュー

TOPTOPへ