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息もできない

第18章 悪いのは誰なのか

俺は春陽の頭を抱き締めた


なんか今日はいつもと違って春陽に甘えられてる
いっつもは甘えてばっかりだから嬉しい


「春陽なら俺のことどれだけ泣かせたっていいんだよ?」
「直…」
「最後に俺に優しくしてくれるなら、泣かせたっていい」
「浮気しても?」
「それは、だめ」


春陽の腕が俺の腰に回る


「直は、浮気もだめ」
「も?」
「………他の男と二人でいたりしちゃだめ」


他の男と二人……って


「圭太のこと?」
「…………」
「大丈夫だよ、圭太は」
「根拠ないでしょ」
「圭太ね、他に好きな人が出来たんだって」

春陽が顔を上げた
至近距離で見つめ合う

「だから、その相談乗ってたの」

春陽は驚いた顔をした

「それ、誰?」
「んー…秘密」
「直?」


春陽はどうしても圭太の思い人が知りたいらしくて甘えるように俺を見上げてくる


うぐ、可愛いけど
でも


「そんなに圭太のこと気になる?」
「え?」
「………」


俺がむくれてそっぽ向くと春陽は今度は少し焦ったようにする


「なーお?」
「……」


俺といるのに俺以外のこと考えるなんてだめに決まってる


「………ふん」


しばらくすると春陽はくすりと笑った

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