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息もできない

第19章 前回とは違うのです

だめだ
俺が信じなきゃ

きっと春陽にはちゃんと考えがあるんだ
そもそも大崎さんの話が真実かなんてわからないんだし


俺が考え込んでいる間ずっと笑っていた大崎さんは、急に笑みを止めた

疑問に思って俺が大崎さんの方へ顔を向けると

「!!」

すごく、怖い顔をしていた

大崎さんはその怖い顔のまま勢い良く立ち上がり叫ぶように言い放った


「あなたが余計なことさえしなければ!!春陽はこんな間違った方向になんて走らなかった!!!そしたら!!!春陽はきっと私の方を向いてくれたのに!!!!」


その場の空気が振動したのがわかるほどの大きな声が誰もいない公園に響いた

こんな小さな身体のどこにそんな叫ぶ力があったのか


俺が呆然としていると大崎さんは俺に向き直って掴みかかってきた

両肩を掴んでがくがくと揺さぶられる


「返して!!!私に春陽を返してよ!!!!」


明らかに理性をなくした大崎さんの態度に俺は恐怖を感じた
けど
それより大崎さんの言葉が心に刺さって痛みが身体全体にじんわりと広がる


俺が余計なことをした?
春陽から告白したのに

でも
あれだけのイケメンで、女の子からモテて、それならきっと女性との幸せな未来だって待っていたはずで

だとしたら
俺は、春陽の人生の邪魔してる?

大崎さんなら…………とか


もうわかんないよ

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