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息もできない

第21章 そろそろ泣きたいのですが

俺がお礼を言うと圭太は照れ臭そうな顔をして、ごまかすように一口水を飲んだ


「で?俺に手伝えることあるのか?」
「うん。大崎さんがね、今回おやすみしてる間誰かに会ってたって話はしたと思うんだけど」
「あぁ、聞いたな」
「それで、その大崎さんと会ってた人が誰なのか調べたいの」


俺が言うと圭太は一瞬考えるような素振りを見せた


「ん?昔の友人に会ってたって言ってたんだっけ?」
「大崎さんはそう言ってた」
「関係ありそうなのか?」
「これまで真面目に仕事に取り組んできて、ようやく主任って立場を任されるようになったのにその信頼を裏切るようなこと簡単には出来ないと思うんだ」
「…なるほど」
「だから、今回の無断欠勤の原因がその人にあるかどうかはわからないけど何も知らないってことはないだろう、って」


俺の考えをとりあえず一通り伝えてみると圭太は意外そうな顔をしていた


「なんか、直変わったな」
「そう?」


変わった?
俺が?


「前はそんなことあったらすぐ泣いて家に引き篭もっちまいそうな感じがしたけど、今はちゃんと立ち向かおうとしてる」


変われたの、かな……

変われたとしたらそれは


「春陽のおかげだよ」

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