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息もできない

第24章 過去と現在

恐怖に染まった顔で罵倒される覚悟をしていた

だけど久しぶりに会った千尋は久しく会った友人にするそれのように微笑んだ


「ーー久しぶり。ハル」


その反応を意外に思いつつ俺は切り出した


「話があって、朗に住所を聞いて来た」
「そう。朗元気?最近は連絡取り合ってないから」
「元気だよ。………千尋は?」
「私も、元気」


そう言って笑う千尋の顔には嘘はないように見える


「こんなところで立ち話もなんだから入って入って。狭いし汚いけどね」


「お邪魔します」と俺が入ると千尋は俺の後ろで固まっていた直に「あなたもどうぞ」と微笑みかけた

直は焦った様子で「お邪魔します」と俺の後に続いて入ってくる



千尋の家の中はシンプルだけど女性らしい可愛らしさの溢れる部屋だった

千尋はそこに座っててーとお茶を入れに行ってしまって、俺と直の二人だけになる

俺は直に心の準備ぐらいさせろとか怒られるかと思っていたが、直は俯いて黙っている


そのことに不安になって直に声をかけようとすると千尋がお茶を持ってリビングに戻ってきた


「お待たせ。はい、どうぞ」
「あぁ、悪いな」
「ふふっかしこまっちゃって」

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