テキストサイズ

息もできない

第24章 過去と現在

「はい、到着」
「ぅわーー……」


着いたのは結構名の知れた高級旅館


「俺ここテレビで見たことあるよ。なかなか予約取れないって。何で春陽当日予約なんか出来たの?」
「んー?実はね、ここ俺の実家なんだ」
「え!?」
「ふふ、嘘。ただ単に知り合いがいるだけだよ」


車に乗る前までのテンションは何処へやら
旅館に到着するまでの車の中でも随分はしゃいで俺を質問責めにしていたが、着いてからもあそこがすごいだここが綺麗だとはしゃぎ回っている


その可愛らしさに微笑みつつ、俺は一人受付に向かった


「いらっしゃいませ」


と微笑む着物姿の女性に名前を告げると手際良くチェックインの作業をしてくれる
館内の説明と部屋への案内を断って鍵だけを受け取った


「ほら直行くよ」
「うん」


窓から見える石庭に見入っていた直を呼ぶと俺の横に並んで歩き出す


ペットみたい


なんて失礼なことを考えていると部屋に着く


「今日の部屋はここ」


俺が鍵を開けて直を中へ入れると直が歓声を上げた


「広い!綺麗!」


子供みたいに走り回ることはしなくても小走りで窓際に寄った直はさらに声を上げる


「わ!春陽!露天風呂がお部屋についてる!後で入ろう!」
「直はしゃぎすぎ、可愛すぎ」


俺は直を後ろから抱きしめた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ