息もできない
第25章 息もできない
春陽は俺の肩に手を置いて身体を離した
「?」
そして着ていた上着のポケットを手で漁り取り出したのは小さい箱
上質なベルベット生地が張られたその箱は手にしたことはなくても、中に何が入っているのか想像が出来る
吸い込んだ酸素が上手く吸収出来ない
春陽は微笑んで
「直に縛って欲しいんだ。俺を、一生」
その箱を開けて中に入った二本のリングを見せた
さっき込み上げていた涙が目から勢いよく溢れ出て床に落ちる
手で拭おうにもなぜか腕が上がらない
ただ棒立ちのままで涙を流し続ける俺に春陽はゆっくり近づいた
「一生、側にいて」
そしてあまり太さの変わらない二本のリングのうち一本を箱から取り出して、俺の指にそっと通した
「直も俺の指にはめて?」
春陽の言葉にようやく動くようになった腕が持ち上がり、カタカタ震えながらも春陽の指にリングを通した
涙、止まんない
指輪というものが他の贈り物とこんなにも違うのはなんでだろう
これまでもずっと一緒にいよう、と言葉を交わしてきたものの、指輪があるだけで言葉がすごく深く重くなる感じがする
この気持ちを言葉にして春陽に伝えたいのに
どうして
喉がふさがったように言葉が出ない
「?」
そして着ていた上着のポケットを手で漁り取り出したのは小さい箱
上質なベルベット生地が張られたその箱は手にしたことはなくても、中に何が入っているのか想像が出来る
吸い込んだ酸素が上手く吸収出来ない
春陽は微笑んで
「直に縛って欲しいんだ。俺を、一生」
その箱を開けて中に入った二本のリングを見せた
さっき込み上げていた涙が目から勢いよく溢れ出て床に落ちる
手で拭おうにもなぜか腕が上がらない
ただ棒立ちのままで涙を流し続ける俺に春陽はゆっくり近づいた
「一生、側にいて」
そしてあまり太さの変わらない二本のリングのうち一本を箱から取り出して、俺の指にそっと通した
「直も俺の指にはめて?」
春陽の言葉にようやく動くようになった腕が持ち上がり、カタカタ震えながらも春陽の指にリングを通した
涙、止まんない
指輪というものが他の贈り物とこんなにも違うのはなんでだろう
これまでもずっと一緒にいよう、と言葉を交わしてきたものの、指輪があるだけで言葉がすごく深く重くなる感じがする
この気持ちを言葉にして春陽に伝えたいのに
どうして
喉がふさがったように言葉が出ない