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息もできない

第28章 番外編「春陽と直が待ち合わせするなら」


次の日、直がいつの間にかセットしていた目覚まし時計に起こされると、眠る前まで横にあったはずの温もりはすでにそこになく、リビングのテーブルの上に朝食と手紙だけが残されていた

待ち合わせの時間と場所、そして『遅れちゃだめだよ』という注意書き


「ふ、可愛いな直」


あんなに整った顔からこんなに可愛い言葉が出てくるなんて、誰が思うだろう


いや、思わなくていいや
俺の直なんだから誰も見なくていいよ


本人がいないにもかかわらず無駄な嫉妬心を燃やしたところで、直の作ってくれた料理を食べる


直どんな格好してくるのかな
俺も、何着て行こう


そう考えるのがなんだか新鮮で、遠足に行く前の子供のような気持ちになった


楽しみだな
デート

早めに行こう
デートといえば相手を待って文句を言うのも醍醐味だろ

まぁ、今日は直の方が先に出てるんだし文句を言われるのは俺かもしれないけど
それはそれでいいや

朝食を大事に食べて、俺は早めの準備を始めた

服を選んだり髪をセットしたりするのに予想外に手間取ったけど、待ち合わせ場所に着いたのは指定された時間の10分前だった

混雑した駅前にある時計台
一人で立つのを躊躇うほど多くの人がいる

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