息もできない
第28章 番外編「春陽と直が待ち合わせするなら」
まぁ待ち合わせと言えば定番だよな
いい目印があるし
ポケットが震えたのに気がついて携帯を見ると、直からのメールが入っていた
『もう着いたよ。待ってるね』
『俺も着いてる。どこ?』
すぐに返信をして見渡してみても、直の姿は見当たらない
俺が見逃すはずないんだけどな
どこだ?
直はその辺の奴からしたら背高い方だし、女子高生とかに紛れてるわけないしなぁ
繰り返し見てみるが、やっぱり見当たらない
するとまた携帯が震える
『駅前の時計のとこにいるよ。俺も探してるんだけど、春陽見えない』
待ち合わせ場所は合ってるのに何故かお互いが見つからず、俺は電話をかけた
呼び出し音が響いて暫くすると、電話口に直が出る
『もしもし、春陽?』
「直ごめん。見つからないんだけど」
『んー、俺からも春陽見えないんだよね……ぁ、すみません』
直が誰かにぶつかったらしい
こんなに人がいちゃ仕方ないな
待ち合わせで待っている人や駅に向かう人、駅からどこかに向かう人
とにかく人がたくさんいすぎて、どれが待ち合わせで立ってる人間なのかもよくわからない
『春陽具体的には時計のどっち側?』
「正面。時計のすぐ下じゃなくてちょっと離れたとこにいるんだけど」
『えー?見えない……人多すぎ……』