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息もできない

第28章 番外編「春陽と直が待ち合わせするなら」

そうぼやいた直が人に揉まれながら頑張ってる姿を想像して微笑ましく思う

すると


『え?すみません、ちょっと……人と待ち合わせてるので……』
「直?」


嘘だろ
もしかしてナンパ?

ふざけんな


俺は電話口で直に「今どこ!?」と怒鳴るように聞いて、必死で視線を巡らせる


俺だって朝から1回も直の顔見てないのに、他の奴に見られるとか我慢ならない


くそ
どこだよ


俺の質問に対する直からの答えは返ってこなくて、電話口ではひたすら謝る声が聞こえる


しつけぇな


すると、突然後ろから肩を叩かれた

直かと思って振り向くとそこにいたのは知らない女性


「ほら〜イケメンだったじゃん」
「本当だ。ユリすご〜い」
「お兄さん何してんの?これから暇?」
「私達と遊びに行かない?」


ただでさえイラついてるのに俺にもか


と思いつつも蔑ろに扱うことが出来なくて


「すみません。待ち合わせで、人を待ってるので」
「え〜なに?女?」
「……彼女です」
「嘘だ〜今の間絶対おかしいもん」


そう言われてやばいな、と焦る

これは暫く解放して貰えないぞ

今までの経験上巻くのに時間がかかるタイプかと思ってどうにかこの人たちを遠ざける言い訳を考えていた
その時

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