息もできない
第28章 番外編「春陽と直が待ち合わせするなら」
「!」
背中にどん、とぶつかる衝撃
「すいませーー」
謝ろうと首を巡らせるとそこには俺の愛しい恋人がいた
俺の腰に腕を回してくっついている
「彼女来たんで。じゃあ、失礼します」
その仕草に一瞬でやられた俺は直の姿が見えないように身体で隠しながらその場を逃げるように去った
面倒くさい手続きのいるホテルやらカラオケやらに入る時間が惜しくて、人目の少ない路地に入る
「そろそろいいかな、……っと……」
やっと直とゆっくり話が出来る、と立ち止まるとすぐに俺の身体に腕が巻きついてきた
「んーんー……」
ぐりぐりと首筋に頭を擦りつけられるのが擽ったい
「直?どうした?」
「…………」
俺が頭を撫でながら尋ねても、直は顔を上げてくれない
代わりに首や耳にキスをしていると、同じように色んなところへのキスを返される
「ん、直……」
「……春陽、やだ……」
「ん?」
やだ?
俺何かした?
「ごめん?」
「意味のわかってないごめんはだめです」
だめですって、なにそれ可愛い
俺は甘えるように直をぎゅ、と抱き締めて「教えて、お願い」と許しを請う
暫くやだやだと首を振っていた直だったが、色んなところにキスを落としていたら絆されてくれたみたいで、顔を上げてくれた