息もできない
第28章 番外編「春陽と直が待ち合わせするなら」
「直?」
「…………ナンパ、されてた」
それで機嫌悪かったのか
でもそれは
「直もでしょ」
俺が不機嫌を露わにしてほっぺを指で弄ると、直がくすくす笑う
「残念でした。俺は春陽みたいにモテないから、あれはアンケートお願いされただけ」
「え……」
モテないなんてあるわけないけど
そうか街頭アンケートにひっかかっただけか
「だから、悪いのは春陽だけ」
「ごめんなさい」
「許しません」
「許して?何でもするから」
俺が視線を下げて謝ると、直に両手で顔を挟まれて触れるだけのキスをされた
「ん……っ」
「……春陽、今のキス以外今日1日俺に全く触れないのと、今日の残りの時間全部ベッドで謝り倒すのどっちがいい?」
どっち、って……
「いいの?今日のことずっと楽しみにしてたのに……」
「ん……行きたいところがあったわけじゃなくて、春陽と楽しく過ごせるところを考えてただけだもん。それに、そんなところいつでも行けるよ」
直は「俺の機嫌が悪いのは今」と言いながら額を合わせてくる
「選んで、早く。どっち?」
「そんなの決まってるでしょ」
「ん、はる……ひ……ぅん……」
やっぱり、直には敵わない
いつかお互い外に出られなくなりそうだ
それはそれでいいかもしれないけどね