息もできない
第29章 番外編「Happy Birthday」
軽い調子で笑う圭太に俺も笑って、一緒に廊下を歩く
「ようやく地獄の決算期が終わったね」
「そうだなー。ほんと、今回は参ったぜ」
「なんかあったの?」
「それがさ、うちの課長がーー」
圭太のちょっとした職場の愚痴を聞きながらロビーへと向かう
「あのハゲほんっと許さねー。俺にばっか大変な仕事回しやがって」
「期待されてるんじゃない?」
「いーや。あれは完ッ全に俺のこと嫌いなだけだね」
でも仕事は文句言わずに全部やったんでしょ?
圭太だってほんとは悪く思ってないくせに
なんて考えていたら、すぐにロビーに着いてしまった
「これから三浦さんとこ?」
「うん。金曜日だからお客さん多いと思うけど」
「特等席があんじゃん」
「そーじゃなくて、俺のことあんまり構ってる暇ないと思うけどーって」
「あーそういうこと。贅沢な悩みだこと」
「聞こえなーい」
学生の頃のように笑い合って、「じゃあそろそろ」と別れようと思ったところで圭太に紙袋を差し出された
「? なにこれ?」
「見てわかんねー?」
「プレゼント?」
俺が呟くと、圭太がにっと満足そうに笑った