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息もできない

第9章 お友達ってどこまでですか

しばらく座ったまま遠くで店員さんとにこにこ話す三浦さんを見ていると


ふと三浦さんが視線を彷徨わせた
すると少しだけ目を見開いてお店をキョロキョロと見回し始めた
そして店員さんに何か言うと店員さんは笑っているけど残念そうな顔をする


それがわかっているのかいないのか三浦さんは店員さんに背を向けて携帯を出して操作してそのままポケットにしまって店内をぐるぐる回り始めた


もしかして、だけど
俺のこと探してる……?

行った方がいいのかな
でも違うって可能性もあるしな





やめよ

俺のこと探してるんじゃなかったらなんかガッカリしそう
そもそもそんなに遠くにいるわけじゃないし俺の位置ぐらい把握してるだろ




あのアクセいいな
なんか、俺じゃなくて三浦さんに似合いそう
慰めてもらって友達?にもなってもらったんだし、お礼に買おうかな


俺が見つけたのはアクセサリーショップのネックレス
チェーンが少し短めでヘッドも小さめそれだけだと女性用に見えなくもないけどモチーフのクロスがすごいオシャレ


んー…色は……黒、かな

少しいい値段だったけど
そこは迷わず買って
それをポケットに入れて店を出たぐらいで


「谷口さん!!!」


と大きな声が聞こえた

「え…」
「こんなところにいたのか…!探した。違うところ行くなら声掛けてよ…」



少しだけ息を切らしながら話す三浦さんになんだかこう、心臓の少し上のあたりがぐっと締められた気がした


「ご、ごめんなさい…」

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